常盤亜由子 吉田憲一郎 デボラ・アンコーナ カール・E・ワイク 大山健太郎 安藤忠雄 琴坂将広 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2026年10月号

経済

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2026年10月号│創刊50周年記念号│[雑誌]特集1 「センスメイキング」 [雑誌]特集2「経営戦略50年の進化」 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー

正解のない時代に、リーダーはどう未来への道筋を描くのか。創刊50周年記念号の2大特集から、今読むべき論点を紹介します。

掲載人物

常盤亜由子 吉田憲一郎 デボラ・アンコーナ カール・E・ワイク 大山健太郎 安藤忠雄 琴坂将広 ジョナサン・トレバー ライアン・ネルソン トーマス・H・ダベンポート 入山章栄 『ハーバード・ビジネス・レビュー』編集部

結論

  • 創刊50周年を記念し、「これまで」と「これから」をつなぐ構成
  • 特集1は「センスメイキング」を軸に、正解なき時代のリーダー像を考察
  • 特集2は経営戦略50年の進化を10の視座から整理
  • 吉田憲一郎、大山健太郎、安藤忠雄らの実践知にも注目
  • 経営者、管理職、戦略担当者、組織づくりを考えるビジネスパーソンに

FAQ

①今号の注目ポイント・見どころ

最大の特徴は、創刊50周年という節目を「過去の振り返り」だけで終わらせず、これからの経営を考える材料として構成している点です。第1特集では「センスメイキング」、第2特集では「経営戦略50年の進化」を扱い、リーダーが不確実な状況で何を理解し、どのように方向性を示すのかを多面的に考えます。DHBR編集部も、50年の歩みを踏まえながら未来の「問い」を考える記念号として位置づけています。

②掲載人物・特集の内容

特集1には、ソニーグループ会長の吉田憲一郎氏、MITスローンスクール・オブ・マネジメント教授のデボラ・アンコーナ氏、ミシガン大学ロススクール・オブ・ビジネス名誉教授のカール・E・ワイク氏、アイリスオーヤマ代表取締役会長の大山健太郎氏、建築家の安藤忠雄氏らが登場します。特集2では琴坂将広氏とジョナサン・トレバー氏が、経営戦略の50年を10の視座から読み解きます。

③どんな読者におすすめか

経営者や管理職だけでなく、事業戦略、組織開発、人材育成、イノベーションに携わる人にも向いています。特に「既存のフレームワークを使うだけでなく、その背景にある考え方を理解したい」「不確実な状況でチームに方向性を示したい」という読者には、複数の角度から考えるきっかけになる号です。

今号を深掘り

今号の見どころ

『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2026年10月号は、創刊50周年記念号です。2026年9月10日に発売された月刊誌で、出版社はダイヤモンド社、判型はA4変。紙版の商品情報では3,199円(税込)と案内されています。

記念号の中心となるのが、「センスメイキング――リーダーは正解なき時代の『地図』をつくる」です。

センスメイキングは、複雑で不確実な現実を理解し、そこから意味を見いだして、組織として進む方向をつくっていく考え方です。DHBR編集長の常盤亜由子氏は、現在のリーダーには「正解」を示すことだけではなく、置かれた状況を共有し、メンバーが納得して行動できるよう意味づけすることが重要だと説明しています。

「センスメイキング」という言葉だけを見ると抽象的に感じますが、本号では実際の企業経営や過去の出来事を通じて具体化されています。

特集・注目記事

特集1の冒頭では、常盤亜由子氏の「世界を理解することから未来は始まる」が、50周年を迎えたDHBRの問題意識を示します。

続く「迷いながらも方向性を示すのがリーダーの役割」では、ソニーグループ会長の吉田憲一郎氏へのインタビューを掲載。経営環境が不透明ななかで、ソニーがどのように進む方向を描いてきたのかを考えます。

デボラ・アンコーナ氏へのインタビュー「センスメイキングとは、正解なき世界で前進するための『地図をつくること』である」では、センスメイキングの概念そのものを掘り下げます。アンコーナ氏は、混沌とした現実を理解し、不確実な世界を進むためにリーダーがどのようにセンスメイキングを活用できるかを解説しています。

さらにカール・E・ワイク氏の「悲劇に学ぶリーダーシップ」では、センスメイキングの欠如がチームの崩壊につながった事例を取り上げます。理論だけでなく、危機的状況における組織の判断と行動を考えられる点が特徴です。

アイリスオーヤマの大山健太郎氏へのインタビュー「不測の事態でも半歩早く動ける自律的な組織をつくる」では、トップの意思決定と現場の判断をどう両立するかに焦点を当てています。

そして建築家・安藤忠雄氏との往復書簡「全力で生きる覚悟に、人の心は動かされる」では、先の見えない時代にリーダーが何を語り、どう人を動かすのかというテーマに迫ります。

もう一つの柱が、特集2「経営戦略はどこから来て、どこへ向かうのか」です。

琴坂将広氏とジョナサン・トレバー氏による「経営戦略50年の進化を10の視座から読み解く」では、戦略論の変遷を単なるフレームワークの一覧としてではなく、それぞれが生まれた時代背景や問題意識まで含めて捉え直します。

筆者らは、経営戦略の理論は新しいものが古いものを単純に置き換えてきたのではなく、既存理論では説明しきれない新しい現象に対応する形で積み重なってきたと整理しています。SWOTやファイブ・フォースなど、実務で知られるフレームワークについても、その背景を理解することの重要性が示されています。

この視点は、経営戦略を「使える型」として覚えるだけではなく、「なぜこの考え方が生まれたのか」「何を説明でき、何を説明できないのか」まで考えたい人にとって重要です。

さらにHBR翻訳論文として「プロダクトマネジメントで企業の収益力を高める」「プロジェクトマネジメントの課題を克服せよ」も掲載。ライアン・ネルソン氏、トーマス・H・ダベンポート氏らの論考を通じて、現代企業の実務的な課題にも目を向けています。

連載・インタビュー

連載では、入山章栄氏の「世界標準の経営理論」が最終回を迎えます。「世界標準の経営理論にコペルニクス的転回をもたらすのは、私たち日本人かもしれない」と題し、経営理論を日本企業・日本人の視点から捉え直すテーマが提示されています。

また、「Idea Watch」では「マネジャーがよいアイデアを握り潰す理由」「適切なコーチングスタイルを選ぶ」「イノベーションを起こすべきか、模倣すべきか」といったテーマを掲載。特集の大きな論点だけでなく、日々のマネジメントや組織運営に応用しやすい話題も収録されています。

本号を通して見えてくるのは、「正解を知っているリーダー」だけが求められているわけではない、というテーマです。

環境が変われば、過去に機能した戦略や前提が通用しなくなることがあります。そのとき重要になるのが、目の前の現実をどう理解するか、何を問いとして設定するか、そして組織のメンバーとどのような意味を共有するかです。

創刊50周年という節目に、「これまでの経営学」と「これからのリーダーシップ」を同時に考えられる構成になっていることが、本号の大きな特徴といえるでしょう。

まとめ

『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2026年10月号は、創刊50周年記念号として、「センスメイキング」と「経営戦略50年の進化」という2つの大きなテーマを扱います。

吉田憲一郎氏、デボラ・アンコーナ氏、カール・E・ワイク氏、大山健太郎氏、安藤忠雄氏らの実践・研究からリーダーシップを考え、琴坂将広氏とジョナサン・トレバー氏の論考から戦略論の50年を俯瞰する構成です。

特に、変化の激しい環境で意思決定を担う経営者・管理職、組織を動かす立場の人、経営戦略を体系的に学び直したいビジネスパーソンにとって、考える材料の多い一冊です。

創刊50周年を「過去50年の総括」だけでなく、「次の50年を考えるための問い」につなげている点にも注目したい号です。