風邪で血圧が上がる理由とは|高血圧リスクと正しい対処法

健康

風邪をひいたときに血圧を測ったら、普段より高くて不安になったことはありませんか?実は、風邪をひくと体の防御反応や薬の影響などで、一時的に血圧が上がりやすくなります。「一時的な上昇だから大丈夫?」と放置してよいのか、どのような対応をすべきなのか気になる方も多いはずです。この記事では、風邪で血圧が上がる原因から、高血圧の方が注意すべき風邪薬の選び方、自宅でできる対策までをわかりやすく解説します。

風邪をひくと血圧が上がるのはなぜ?

風邪をひいたときに血圧が高くなるのは、体がウイルスと戦うために引き起こす「正常な防御反応」が大きく関係しています。

私たちの体は、ウイルスなどの外敵が侵入すると、体温を上げて退治しようとします。このとき司令塔となるのが自律神経です。体温を上昇させるために自律神経のうち「交感神経」が優位に働くと、心臓の鼓動が速くなり、全身の血管がキュッと収縮します。細くなった血管の中を血液が勢いよく流れるため、結果として血圧が上昇するのです。

さらに、風邪による体調不良や体の痛み、熱っぽさ自体が精神的・身体的な強いストレスとなり、交感神経の緊張を拍車にかけます。つまり、風邪の初期症状として見られる血圧の上昇は、体が免疫力を高めて戦っている証拠でもあります。

ただし、もともと高血圧の持病がある方や高齢者の場合、この一時的な血圧上昇が心臓や血管に負担をかけることもあるため、仕組みを正しく理解しておくことが大切です。

風邪で血圧が上昇する5つの主な原因

風邪の際に血圧が上がる原因は1つだけではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。主な原因は以下の5点です。

1. 発熱による交感神経の活性化

熱が出ると、体は発熱を促すために筋肉を震わせたり(シバリング)、熱を外に逃がさないよう末梢血管を収縮させたりします。これにより交感神経が強く刺激され、血圧が上がります。

2. 免疫・炎症反応(サイトカインの分泌)

ウイルスと戦う過程で、体内では「サイトカイン」と呼ばれる炎症物質が作られます。このサイトカインが血管や自律神経に作用し、心拍数を増やしたり血管を収縮させたりするため、血圧が高くなりやすくなります。

3. 軽度の脱水症状

発熱による発汗や呼吸の荒さ、食欲低下に伴う水分不足により、体は知らず知らずのうちに脱水状態に陥ります。体内の水分(血液量)が減ると、体は危険を察知して血圧を維持しようと血管を縮めるため、血圧が上昇気味になります。

4. 体調不良によるストレスと睡眠不足

頭痛、関節痛、鼻づまりによる息苦しさなどは強いストレスとなります。ストレスホルモンが分泌されると交感神経が刺激され、睡眠の質も低下するため、血圧が下がりづらくなります。

5. 市販の風邪薬に含まれる成分

見落としがちなのが風邪薬の影響です。特に鼻づまりを抑える「血管収縮薬」や「無水カフェイン」などは、血管を収縮させたり心拍数を高めたりする作用があるため、飲むことで血圧が上がることがあります。

高血圧の人は要注意!風邪薬の選び方

普段から血圧が高めの方や、高血圧で降圧薬を服用している方は、風邪薬の選び方に特に注意が必要です。市販の風邪薬には、血圧を上昇させる成分が含まれているケースが少なくありません。

注意すべき代表的な成分が、鼻みず・鼻づまりを和らげる「プソイドエフェドリン塩酸塩」や「フェニレフリン塩酸塩」などの交感神経刺激成分(血管収縮剤)です。これらの成分は鼻粘膜の血管を収縮させて通りをよくしますが、同時に全身の血管も収縮させてしまうため、血圧を押し上げる原因になります。また、眠気覚ましや解熱鎮痛補強剤として配合されている「無水カフェイン」も、一時的に血圧を上げる作用があります。

高血圧の方が市販薬を選ぶ際は、箱の裏面にある「してはいけないこと」や「相談すること」の欄を必ず確認し、「高血圧」と記載がないかチェックしましょう。持病がある場合は、自己判断で市販薬を購入するよりも、薬剤師に相談するか、処方薬を処方してもらうために早めに医療機関を受診するのが最も安心です。

最近では、高血圧の方でも服用しやすい血圧への影響が少ない風邪薬や、漢方薬(葛根湯など※高血圧の程度によるため要相談)も選択肢となります。体に余計な負担をかけないためにも、お薬選びは慎重に行いましょう。

風邪のときに自宅でできる血圧コントロールと対処法

風邪をひいている間の血圧上昇を抑え、体調を速やかに回復させるためには、自宅での過ごし方が重要です。以下のポイントを意識して過ごしましょう。

  • 十分な水分補給を行う 脱水は血圧上昇の大きな原因です。常温の水やスポーツドリンク、経口補水液をこまめに摂取し、体内の水分量を保ちましょう。温かいお茶やスープも体を温めるため効果的です。
  • 室温と湿度の管理を徹底する 寒暖差は血管に強い刺激を与え、血圧を急激に上げます。部屋全体をエアコンで20〜24度程度に温め、加湿器を使って湿度50〜60%を保ちましょう。トイレや脱衣所との寒暖差にも注意が必要です。
  • 保温と安静を最優先にする 体を温めることで無駄な血管収縮を防ぐことができます。暖かくしてゆっくり横になり、体と心を休めましょう。スマートフォンなどを長時間見るのは避け、交感神経を休ませることが大切です。
  • 血圧測定は落ち着いたタイミングで行う 発熱中や咳き込んだ直後は血圧が高く出やすくなります。測定する場合は、熱が下がっているときや、水分を摂って静かに10分以上安静にした後に行うと、より正確な値が把握できます。

また、日頃から家庭用血圧計で自分の数値を把握しておくことも大切です。静かな環境で手軽に測定できる上腕式の血圧計や、体調管理に役立つデジタル体温計などを備えておくと、いざという時にも慌てずに対応できます。

危険な上がり方?病院を受診すべき目安とは

風邪による血圧の上昇は一時的なものがほとんどですが、中には注意が必要なケースもあります。どのような場合に病院を受診すべきか、目安を知っておくことで冷静に対応できます。

まず、血圧の値が普段より明らかに高く、収縮期血圧(上の血圧)が180mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が110mmHg以上を超えている場合は注意が必要です。

数値だけでなく、以下のような「伴う症状」がある場合は、風邪以外の循環器系のトラブルや重大な合併症の可能性があるため、速やかに医療機関(循環器内科や内科)を受診してください。

  • 激しい頭痛や吐き気、嘔吐がある
  • 胸の痛み、圧迫感、息苦しさ(胸悶感)がある
  • めまい、ふらつき、視界がかすむ
  • 手足のしびれや、体に力が入らない感覚がある

また、風邪の症状(熱や咳)が治まったにもかかわらず、数日経っても血圧が高い状態が続く場合も、隠れた高血圧症の発見につながる可能性があるため、一度医師に相談することをおすすめします。

まとめ

風邪をひいたときに血圧が上がる主な理由は以下の通りです。

  • 発熱により交感神経が活発になるため
  • 体内の炎症反応によってホルモンバランスが変化するため
  • 発汗や水分不足による軽度の脱水症状が起きるため
  • 市販の風邪薬に含まれる血管収縮成分などの影響
  • 体調不良や痛みによる身体的・精神的ストレスのため

風邪による血圧上昇の多くは体がウイルスと戦うための正常な反応であり、風邪が治るにつれて自然と元に戻ります。しかし、高血圧の持病がある方は風邪薬の成分に注意し、しっかり水分補給と保温を行って安静に過ごすことが大切です。普段と違う強い頭痛や胸の痛みなどを感じた場合は、無理をせず早めに医師の診察を受けましょう。

よくある質問(Q&A)

Q1. 風邪が治れば上がり気味だった血圧も元に戻りますか?

はい、風邪による発熱やストレス、脱水が原因で一時的に上がっていた血圧は、風邪の回復とともに通常の値に戻ることがほとんどです。ただし、解熱後も1〜2週間以上高血圧が続く場合は、風邪をきっかけに潜在的な高血圧症が見つかった可能性もあるため、内科で相談してみましょう。

Q2. 風邪で熱があるときに血圧を測っても正確ですか?

発熱時や体が震えているとき、激しい咳が出ているときは交感神経が極めて優位になっているため、平常時よりも高い数値が出ます。これは「その瞬間の体調を反映した値」としては正しいですが、「普段の血圧」としては正確ではありません。熱が下がり、落ち着いて座れる状態になってから測定することをおすすめします。

Q3. 高血圧の薬を飲んでいますが、風邪薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?

降圧薬(血圧を下げる薬)と市販の風邪薬の種類によっては、飲み合わせにより降圧効果が弱まったり、逆に副作用が出やすくなったりする場合があります。特に市販薬を購入する際は、お薬手帳を持参して薬局の薬剤師に確認するか、かかりつけ医に相談して風邪薬を処方してもらうのが最も安全です。

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