風邪をひいたときに「急に心臓がドキドキする」「脈が1拍飛ぶような違和感がある」と不安になった経験はありませんか?風邪による不整脈は、体内で複数の生理的な変化が同時に起こることで生じます。多くは一時的な影響で自然に改善しますが、中には注意が必要なサインが隠れていることもあります。この記事では、風邪で脈が乱れる理由や対策、病院を受診すべき目安を分かりやすく解説します。
風邪で不整脈や動悸が起きやすくなる4つの主な理由
風邪をひいたときに脈が乱れたり速くなったりする背景には、体内で起こる免疫反応や自律神経の働きが関係しています。主な理由は以下の4点です。
1. 発熱と炎症による心臓への負担増加
風邪の原因となるウイルスに対抗するため、体内では免疫反応が働き体温が上昇します。一般的に体温が1℃上がると、脈拍数は1分間に約10〜15回増えるとされています。発熱に伴って交感神経が優位になり、心臓のポンプ機能が活発化することで「頻脈」や「動悸」として感じられるようになります。
2. 脱水症状と電解質バランスの乱れ
発熱による発汗や、食欲低下、下痢・嘔吐などによって体内の水分が失われると、軽い脱水状態に陥ります。脱水が進むと血液中のナトリウムやカリウム、マグネシウムといった「電解質」のバランスが乱れやすくなります。電解質は心臓の電気信号を正常に保つ役割を担っているため、バランスが崩れると「期外収縮(脈が飛ぶ感覚)」が発生しやすくなります。
3. 自律神経の乱れと過敏状態
感染症と戦う際、体内では交感神経が強く刺激されます。交感神経は体を緊張・興奮状態にする神経のため、夜間や安静時であっても脈が下がりにくくなったり、立ち上がった際に急に胸がドキドキしたりすることがあります。これらは自律神経の過敏状態による一過性の反応であることが大半です。
4. 市販の風邪薬や解熱鎮痛剤に含まれる成分の影響
服用した風邪薬の影響で脈拍が乱れる場合もあります。特に、鼻づまりを和らげる成分(エフェドリン類)や、眠気覚まし・頭痛軽減目的で配合されているカフェイン、一部の鎮咳成分は交感神経を刺激する作用を持っています。薬の影響で一時的に動悸や脈の乱れが引き起こされるケースも珍しくありません。
気をつけたい「ウイルス性心筋炎」の可能性とは?
風邪に伴う不整脈の多くは心配いらないものですが、ごく稀に風邪のウイルスが心臓の筋肉(心筋)に直接炎症を起こす「ウイルス性心筋炎」を発症することがあります。見逃すと重症化する危険があるため、早期の発見が極めて重要です。
以下のような症状を伴う不整脈が見られる場合は、心筋炎のリスクが考えられます。
- 安静にしているにもかかわらず、明らかに異常な頻脈が続く
- 強い胸の痛み、締め付け感、息苦しさがある
- めまい、立ちくらみ、冷や汗、意識が遠のく感覚がある
- 風邪の症状に比べて不整脈や全身のだるさが著しく強い
これらの兆候が見られる場合は、無理をせず速やかに循環器内科などの医療機関を受診し、心電図検査や血液検査を受けることが推奨されます。
風邪の不整脈で「様子見で良いケース」と「受診が必要なケース」
症状が出たときに、自宅で経過観察をして良いのか病院へ行くべきなのかの判断基準を整理しておきましょう。
様子見で問題ない主なサイン
- 動悸や脈の飛ぶ感じが短時間で自然におさまる
- 発熱しているタイミングだけ脈が速くなる
- 水分補給や十分な休息によって症状が和らぐ
- 胸の痛みや息苦しさ、めまいなどの随伴症状がない
これらに該当する場合は、風邪の回復とともに症状が自然に消失することがほとんどです。
すぐに病院を受診すべき危険サイン
- 安静にしていても脈拍が毎分100〜120回以上で長く続く
- 脈拍が不規則な状態(強い乱れ)がずっと持続する
- 胸痛、強い息切れ、吐き気、冷や汗を伴う
- 過去に意識を失いかけた、または実際に失神した
- 風邪の症状(熱や咳)が治った後も不整脈だけが残っている
- 高血圧、糖尿病、心臓疾患などの持病がある
判断に迷う場合や不安が強い場合は、早めに医師へ相談することで適切な処置を受けられます。
風邪をひいたときに不整脈を防ぐ・和らげる対処法
風邪に伴う動悸や脈の乱れを予防・軽減するために、日常生活でできるセルフケアを取り入れましょう。
1. こまめな水分・電解質補給
発熱や発汗で失われた水分と電解質を効率よく補うため、経口補水液やスポーツドリンクを少しずつこまめに摂取しましょう。カリウムやナトリウムをバランスよく補給することで、心臓の電気信号の乱れを防ぎます。
2. 徹底した安静と睡眠の確保
交感神経の興奮を抑え、副交感神経を優先させるためには、体を休めることが一番です。スマートフォンの画面を長期間見続けることは避け、室温を快適に保った状態でしっかり睡眠をとりましょう。
3. 服用する薬の見直し
風邪薬を飲んでから動悸が強くなったと感じる場合は、カフェインやエフェドリンが含まれていない処方の薬に変更するか、薬剤師や医師に相談してみることをおすすめします。
まとめ
風邪をひいたときに起きる不整脈や動悸の多くは、発熱や脱水、自律神経の緊張、薬の影響による一時的な反応です。過度に恐れる必要はありませんが、水分補給と十分な休養を心がけ、体調の回復を優先させましょう。
ただし、激しい胸痛や強い息苦しさを伴う場合や、風邪が治っても不整脈が持続する場合は、ウイルス性心筋炎などの病気が隠れている可能性もあります。違和感が強いときは我慢せず、医療機関を受診してください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 風邪のときに脈が飛ぶ(1拍抜ける)のは危険ですか?
A. 熱や脱水、ストレスによる「上室性期外収縮」などの軽い不整脈であることが多く、単発で発生しすぐに戻るようであれば過度に心配する必要はありません。ただし、頻繁に飛ぶ感覚が続く場合やめまいを伴う場合は医師にご相談ください。
Q2. 熱が下がったのに動悸だけが残る場合はどうすればいいですか?
A. 風邪の治りかけ時期は自律神経のバランスがまだ不安定で、動悸が残ることがあります。数日かけて徐々に治まるようであれば様子見でかまいませんが、1週間以上続く場合や症状が強くなる場合は一度循環器内科を受診することをおすすめします。
Q3. 動悸がするときに効く市販薬や飲み物はありますか?
A. 不整脈そのものを市販薬で抑えることは難しいため、無理な服用は避けましょう。飲み物はカフェイン(コーヒーや濃いお茶、エナジードリンク)を避け、温かいお湯やカフェインレスのスポーツドリンク、経口補水液を選ぶのが効果的です。

