北朝鮮が弾道ミサイルを少なくとも1発発射しました。約680km飛んだのに、なぜ日本のEEZ外なのか。その疑問を距離・方向・EEZの仕組みから整理します。
結論
- 約680kmは「日本列島に向かって680km」という意味ではありません。 北朝鮮東岸付近から北東方向へ飛翔したと発表されています。
- 最高高度約90kmを680kmに単純に足すわけではありません。 「飛翔距離」と「最高高度」は別の情報として示されています。
- 日本のEEZは沿岸から原則200海里、約370kmです。 ただし、日本海では他国との位置関係によって境界が複雑になります。
- 「日本のEEZ外」と「公海」は同じ意味ではありません。 日本のEEZ外でも、他国のEEZに入っている可能性があります。
- 今回の疑問を解くには、680kmという数字だけでなく、発射地点・飛翔方向・落下地点・EEZ境界を一緒に考える必要があります。
FAQ
① 注目ポイント・注意点
最大のポイントは、「680km飛んだなら日本のEEZに入るはず」という考え方が、そのままでは成立しないことです。距離には方向があり、今回のミサイルは北朝鮮東岸から北東方向へ飛翔しています。
② 重点の内容
この記事では、特に混乱しやすい「680kmは何の距離なのか」「最高高度90kmは680kmに含まれるのか」「日本海の中央には公海があるのか」という3点を順番に説明します。
③ どんな読者におすすめか
北朝鮮のミサイル発射ニュースを見て、「680kmも飛んだのに、なぜ日本のEEZ外なのか」と疑問に感じた人、日本海のEEZや公海の位置関係を知りたい人におすすめです。
680km飛んだのに日本のEEZ外になる理由を整理する
680kmは上空90kmを単純に足した距離ではない
今回の発表では、北朝鮮が10月3日午前6時36分ごろ、北朝鮮東岸付近から弾道ミサイルを少なくとも1発、東の方向へ発射したとされています。
そのミサイルは、最高高度約90km、約680km飛翔し、日本のEEZ外の日本海に落下したと推定されています。
ここで最初に整理したいのが、「680km」という数字です。
弾道ミサイルは、飛行機のように海面近くを一直線に飛ぶわけではありません。発射後に上昇し、最高高度に達した後、下降して落下します。
イメージすると、次のような軌道です。
発射地点
\
\
\ 最高高度 約90km
\
\
\
落下地点
したがって、「680km+90km=770km」という計算をするものではありません。
「約680km飛翔」と「最高高度約90km」は、それぞれミサイルの飛翔を表す別の数値です。
また、680kmという数字についても、「ミサイルが描いた曲線の長さを単純に測った数字なのか」「発射地点と落下地点の位置関係から算出した飛翔距離なのか」を、今回の公表資料だけから細かく断定することはできません。
そのため、680kmを使って独自に「日本のEEZまで何km足りない」と計算するのは適切ではありません。
「680km飛んだ=日本に向かって680km」ではない
今回の疑問で最も重要なのが、方向です。
「680km」という数字を見ると、北朝鮮から日本へ向かって680km進んだように感じるかもしれません。
しかし、ミサイルは北朝鮮東岸付近から北東方向へ飛翔しています。
たとえば、北朝鮮を起点にして、
北
↑
│ ● 落下地点
│ ↗
│ ↗
│↗ 約680km
● 北朝鮮
→ 東
日本
という方向だったとすれば、同じ680kmでも、日本列島に向かって真っすぐ680km飛んだ場合とは結果がまったく違います。
つまり、「680km」という距離だけでは、日本のEEZに入ったかどうかを判断できません。
必要なのは、
「どこから発射したのか」
「どちらの方向へ飛んだのか」
「どこに落下したのか」
という3つの情報です。
今回、防衛当局が日本のEEZ外と判断しているのは、こうした飛翔データを分析した結果です。
日本海のEEZ外は必ず公海なのか
もう一つ重要なのが、「日本のEEZ外」という言葉です。
EEZは排他的経済水域のことで、日本の場合、原則として領海の基線から200海里、約370kmまでの海域です。
しかし、日本海には日本だけでなく、北朝鮮、韓国、ロシアが面しています。
そのため、日本海の海域を単純に「日本から370km以内なら日本のEEZ、それより外なら公海」と考えることはできません。
日本のEEZの外側に出ても、そこが別の国のEEZに入っている可能性があります。
つまり、
「日本のEEZ外」
と
「公海」
は同じ意味ではありません。
公海とは、どの国の領海やEEZなどにも含まれない海域です。
したがって、今回の「日本のEEZ外に落下」という発表だけから、落下地点が公海だったと断定することはできません。
逆に、日本海の中央付近について「すべて日本のEEZで覆われている」と考えるのも正確ではありません。
日本海では、周辺国との距離やEEZの境界、さらに国同士の境界画定の問題が関係するため、海域ごとに事情が異なります。
ここまで整理すると、今回のニュースは次のように理解できます。
約680km飛翔したことと、日本のEEZに入ったかどうかは別問題です。
飛距離だけではなく、その680kmを「どの方向に飛んだのか」が決定的に重要なのです。
また、最高高度が約90kmだったとしても、それを680kmに単純に加えて「770km飛んだ」と考えることもできません。
今回の報道を正しく読むには、「飛翔距離」「最高高度」「飛翔方向」「落下地点」「EEZ境界」を別々の情報として整理する必要があります。
まとめ
今回の北朝鮮による弾道ミサイル発射で、「約680km飛んだのに日本のEEZ外なのはおかしい」と感じるのは自然な疑問です。
しかし、680kmは「北朝鮮から日本に向かって680km」という意味ではありません。今回のミサイルは北朝鮮東岸付近から北東方向へ飛翔しており、方向を考えなければ日本のEEZとの位置関係は判断できません。
また、最高高度約90kmを680kmに単純に足すわけでもありません。
さらに、「日本のEEZ外」という表現は「公海」という意味でもありません。他国のEEZに入っている可能性があるためです。
ニュースを見るときは、**「何km飛んだか」だけではなく、「どこから、どの方向へ、どこに落ちたのか」**を見ることが、今回のような報道を理解する最大のポイントです。

